最近またちょっと読書づいてるので、勢いに任せて以前から読んでみたいと思っていたもののなかなか手が出なかったこの作品に挑戦してみた。

残像に口紅を (中公文庫)

残像に口紅を (中公文庫)

読み終えての感想としては、鳥取砂丘とか京都の清水寺みたいな、概観は写真や映像で大体分かるし実際の実物もまあその範囲内に収まる感じのもので、別に一回見てああこんなもんかと思ったら後は別にまた行ってみたいと思わせるようなもんでもないんだけど、ただ実際に訪れてこの目で見てきたというエクスペリエンス自体にはそれなりに重みみたいなものがあって、それ以降はこれらの画像や映像にふれた際に「ああ、ここ行ったことあるんだけど、実物はねえ...」的な感想なりトリビアなりが勝手に湧いて出てくるような、そういうのに近い感覚。試み自体は帯とか煽り文句に書いてあることの通りで、その結果当然こうなるだろうというところにそのまんま行き着いている。で、「実際にちゃんとその意図に付き合って最後まで読み通した」ということ自体に何となく意義を感じてしまう不思議な感覚。
あと、ネタバレになっちゃうかもしれないけど、終盤戦は何となく既視感のある文章になってるなあと思って何とかぶるのかなあと脳みそをぐぐってみたら、デトロイトメタルシティの鬼刃さんだった。